JR東海道線「村岡新駅」整備の本当の意義 [都市開発]
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以前から、JR東海道線の大船駅と藤沢駅の間に、新たな「村岡新駅」を作ろうという計画があることは、地元のニュースでも何度か流れたので知っていました。
ただ、なぜそこに駅を作るのか、という意味については、東海道線の車窓から見える武田薬品の大きな建物から、あそこに通勤する人たちが便利になるからかな?といった程度にしか考えたことがありませんでした。
「村岡新駅」整備負担年内合意へ 神奈川県、藤沢、鎌倉市|カナロコ|神奈川新聞ニュース
先日のニュースによれば、「村岡新駅」の整備に必要な費用の負担について、神奈川県、藤沢市、鎌倉市の3社が合意したそうです。
ここで疑問が湧きました。
「村岡新駅」の予定地は、完全に藤沢市なのに、鎌倉市がなぜ関係があるのでしょうか?
そう思い、調べ始めたら、この「村岡新駅」というのが、思いの外、ビッグプロジェクトであることが分かってきました。
まず、藤沢市側の事情が、思ったのと違いました。
武田薬品、湘南の研究員を3分の1程度に :日本経済新聞
「村岡新駅」予定地のそばには、元々武田薬品の広大な工場があったのですが、その工場が廃止になり、その後に、武田薬品の湘南研究所ができたものの、それも世界的な研究開発機能再編により規模が縮小され、2017年までに人員が現在の3分の1程度になってしまったらしいのです。
なので、武田薬品のために「村岡新駅」が作られる、という認識は少し的外れのようです。
また、そんな現状なので、駅前予定地付近には、巨大なフットサル場やテニスコートが広がっていますが、あまり有効に活用されているとは言えない状態となっています。
村岡新駅周辺地区まちづくりガイドライン|藤沢市
藤沢市としては、このエリアを「村岡新駅周辺地区」として、新たな都市開発を行う計画を立てているみたいです。
それによれば、「村岡新駅」の北側には、大きな駅前広場やホテル、コンベンション施設が建設される可能性があるらしい。
また、それに隣接して、集合住宅や商業施設、病院、スポーツ施設などが作られる計画となっているようです。
一方、駅の南側には、大きな公園のほか、駅前広場と鎌倉市の計画に連携する開発が行われるようです。
これだけだと、駅を新たに作る意味は乏しいように見えるかもしれませんが、ここで鎌倉市側の計画が大きく絡んでくるため、次にそれについて説明します。
まず、意外だったのですが、鎌倉市の湘南モノレール「湘南深沢駅」は、「村岡新駅」建設予定地と、直線距離だと徒歩で15分ぐらいしかなく、案外近いのです。
鎌倉市/深沢地区まちづくりガイドライン
では、湘南モノレール「湘南深沢駅」と「村岡新駅」建設予定地の間には、現在何があるかというと、藤沢市側には、神戸製鋼所の大きな工場があります。
そして、鎌倉市側には、JR東日本の車両基地があったのですが、これが廃止となりこれも現在は巨大な空き地となっています。
また、その北側には、三菱電機の巨大な工場があります。
鎌倉市は、この車両基地跡に、狭くて老朽化した市役所を移転し、併せて「湘南深沢駅」西側の深沢地区に新たな都市開発を行う計画を立てているようなのです。
それによれば、「湘南深沢駅」から「村岡新駅」に向けてまっすぐな広い道路が作られ、「湘南深沢駅」近くには市役所などの行政設備が作られ、集合住宅、大学、公園もつくられるようです。
さらに、「村岡新駅」に近い藤沢との市境近くには、大規模商業施設や、青果市場が作られる計画となっています。
すなわち、この鎌倉市側の都市計画は、「村岡新駅」からの人の流れも大前提に作られており、「村岡新駅」計画においては、藤沢市側にも、鎌倉市につながる道路を作ってもらわなければいけないため、「村岡新駅」の整備に必要な費用の一部を、鎌倉市も負担するということになったようなのです。
それが、最初に書いた「『村岡新駅』整備負担年内合意へ 神奈川県、藤沢、鎌倉市」というニュースなのです。
こうして見てゆくと、「村岡新駅」が作られるメリットは、藤沢市より、鎌倉市の方が大きいのかもしれません。
鎌倉の深沢地区は、三菱電機の巨大工場などがある工場地帯でもあるのですが、湘南モノレールの輸送力は限られ、周りの道路も狭くて渋滞が激しいことでも知られています。
「村岡新駅」ができれば、駅から三菱電機の西端まで、徒歩で10分も掛からない距離なので、そうなれば、東海道線沿線に住み、「村岡新駅」を利用する従業員は大幅に増えるでしょう。
また、ここに巨大商業施設を作る計画があるのも、よくニーズを分かっている。
というのも、この周辺の巨大商業施設というと、東海道線の下り方向は、藤沢にはなくて辻堂の「テラスモール湘南」までありませんし、東海道線の上り方向で見ると、大船も戸塚もなくて、東戸塚の「オーロラモール」ぐらい(しかも古い!)。
根岸線、横須賀線の下り、湘南モノレール沿線に至っては、巨大商業施設は皆無なので、確かに、ここに作れば、大きな集客が見込めるのは間違いないでしょう。
東海道線新駅、効果は90億円超 神奈川県「実現性十分」|カナロコ|神奈川新聞ニュース
こうして2つの都市計画を見てゆくと、この「村岡新駅」が、思いの外、野心的な計画であることが分かります。
武田薬品、神戸製鋼、三菱電機などの乗降客が期待でき、さらには、近くに鎌倉市役所が移転し、新たな大型商業施設もできるのであれば、1日当たりの駅利用者が6万5800人、経済効果が90億円にも及ぶという試算は、あながち大ボラ吹きでもない気がしてきますね。
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米軍施設跡地は何になる? 神奈川編:東京おじさんぽ:So-netブログ
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以前から、JR東海道線の大船駅と藤沢駅の間に、新たな「村岡新駅」を作ろうという計画があることは、地元のニュースでも何度か流れたので知っていました。
ただ、なぜそこに駅を作るのか、という意味については、東海道線の車窓から見える武田薬品の大きな建物から、あそこに通勤する人たちが便利になるからかな?といった程度にしか考えたことがありませんでした。
「村岡新駅」整備負担年内合意へ 神奈川県、藤沢、鎌倉市|カナロコ|神奈川新聞ニュース
先日のニュースによれば、「村岡新駅」の整備に必要な費用の負担について、神奈川県、藤沢市、鎌倉市の3社が合意したそうです。
ここで疑問が湧きました。
「村岡新駅」の予定地は、完全に藤沢市なのに、鎌倉市がなぜ関係があるのでしょうか?
そう思い、調べ始めたら、この「村岡新駅」というのが、思いの外、ビッグプロジェクトであることが分かってきました。
まず、藤沢市側の事情が、思ったのと違いました。
武田薬品、湘南の研究員を3分の1程度に :日本経済新聞
「村岡新駅」予定地のそばには、元々武田薬品の広大な工場があったのですが、その工場が廃止になり、その後に、武田薬品の湘南研究所ができたものの、それも世界的な研究開発機能再編により規模が縮小され、2017年までに人員が現在の3分の1程度になってしまったらしいのです。
なので、武田薬品のために「村岡新駅」が作られる、という認識は少し的外れのようです。
また、そんな現状なので、駅前予定地付近には、巨大なフットサル場やテニスコートが広がっていますが、あまり有効に活用されているとは言えない状態となっています。
村岡新駅周辺地区まちづくりガイドライン|藤沢市
藤沢市としては、このエリアを「村岡新駅周辺地区」として、新たな都市開発を行う計画を立てているみたいです。
それによれば、「村岡新駅」の北側には、大きな駅前広場やホテル、コンベンション施設が建設される可能性があるらしい。
また、それに隣接して、集合住宅や商業施設、病院、スポーツ施設などが作られる計画となっているようです。
一方、駅の南側には、大きな公園のほか、駅前広場と鎌倉市の計画に連携する開発が行われるようです。
これだけだと、駅を新たに作る意味は乏しいように見えるかもしれませんが、ここで鎌倉市側の計画が大きく絡んでくるため、次にそれについて説明します。
まず、意外だったのですが、鎌倉市の湘南モノレール「湘南深沢駅」は、「村岡新駅」建設予定地と、直線距離だと徒歩で15分ぐらいしかなく、案外近いのです。
鎌倉市/深沢地区まちづくりガイドライン
では、湘南モノレール「湘南深沢駅」と「村岡新駅」建設予定地の間には、現在何があるかというと、藤沢市側には、神戸製鋼所の大きな工場があります。
そして、鎌倉市側には、JR東日本の車両基地があったのですが、これが廃止となりこれも現在は巨大な空き地となっています。
また、その北側には、三菱電機の巨大な工場があります。
鎌倉市は、この車両基地跡に、狭くて老朽化した市役所を移転し、併せて「湘南深沢駅」西側の深沢地区に新たな都市開発を行う計画を立てているようなのです。
それによれば、「湘南深沢駅」から「村岡新駅」に向けてまっすぐな広い道路が作られ、「湘南深沢駅」近くには市役所などの行政設備が作られ、集合住宅、大学、公園もつくられるようです。
さらに、「村岡新駅」に近い藤沢との市境近くには、大規模商業施設や、青果市場が作られる計画となっています。
すなわち、この鎌倉市側の都市計画は、「村岡新駅」からの人の流れも大前提に作られており、「村岡新駅」計画においては、藤沢市側にも、鎌倉市につながる道路を作ってもらわなければいけないため、「村岡新駅」の整備に必要な費用の一部を、鎌倉市も負担するということになったようなのです。
それが、最初に書いた「『村岡新駅』整備負担年内合意へ 神奈川県、藤沢、鎌倉市」というニュースなのです。
こうして見てゆくと、「村岡新駅」が作られるメリットは、藤沢市より、鎌倉市の方が大きいのかもしれません。
鎌倉の深沢地区は、三菱電機の巨大工場などがある工場地帯でもあるのですが、湘南モノレールの輸送力は限られ、周りの道路も狭くて渋滞が激しいことでも知られています。
「村岡新駅」ができれば、駅から三菱電機の西端まで、徒歩で10分も掛からない距離なので、そうなれば、東海道線沿線に住み、「村岡新駅」を利用する従業員は大幅に増えるでしょう。
また、ここに巨大商業施設を作る計画があるのも、よくニーズを分かっている。
というのも、この周辺の巨大商業施設というと、東海道線の下り方向は、藤沢にはなくて辻堂の「テラスモール湘南」までありませんし、東海道線の上り方向で見ると、大船も戸塚もなくて、東戸塚の「オーロラモール」ぐらい(しかも古い!)。
根岸線、横須賀線の下り、湘南モノレール沿線に至っては、巨大商業施設は皆無なので、確かに、ここに作れば、大きな集客が見込めるのは間違いないでしょう。
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武田薬品、神戸製鋼、三菱電機などの乗降客が期待でき、さらには、近くに鎌倉市役所が移転し、新たな大型商業施設もできるのであれば、1日当たりの駅利用者が6万5800人、経済効果が90億円にも及ぶという試算は、あながち大ボラ吹きでもない気がしてきますね。
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私は、この近所に住む一住民の立場から、新駅の設置に反対します。理由は、既に皆さんがおっしゃる大企業優遇等も有りますが、
それ以上に現在のJRの運行状況からの方が大きいです。
ただでさえ過密ダイヤで遅延が多い東海道線です。距離が有るとはいえ、隣の駅まで3分ぐらいしかない場所に駅を設ければ、列車が詰まることは日を見るより明らかと思います。
一部の人の利便性のためにわざわざこのような場所に駅を設ける必要性を感じません。更に路線バスが来るでしょうか。駅だけ出来て
駅前の一部のみしか利便性が増すことになるとしか思えません。
by 一市民 (2021-02-16 13:01)